2021年3月に上場のi-Plug(4177)に関して、プライマリー(初値売り)とセカンダリー(初値買い)投資すべきかを検証する記事になります。
ただし、プライマリーについては様々なサイトで予測されておりますので、他サイトの予想をそのまま抜粋するにとどめ、メインはセカンダリーに妙味があるかに言及します。
▼役立つ情報を発信中!!▼
- Sharing inovationsのIPO評価!:【SBI証券IPO】Sharing Innovations(4178)の分析
- Appier GroupのIPO評価!:【IPO落選してもチャンスあり!】Appier Group(4180)の分析
- ウェルスナビ最新株価予想!:【2021年2月決算】ウェルスナビの株価予測
- プレイド最新株価予想!:【IPO後初決算で無難な業績】プレイド(4165)の銘柄考察
- 投資成績を公開!:投資成績
- 筆者について:プロフィール
→見ていただき共通点がある方、タカナビの情報が気になる方いらっしゃれば是非Twitterでフォローしていただければ幸いです!
▼Twitterアカウントはこちら▼
@tanakavii
- i-Plugは学生と企業を結ぶマッチングプラットフォームを提供するビジネス(成果報酬型)
- プライマリー目線では公募価格の2.5倍程度と予想されている
- セカンダリー目線ではポジティブな点は特に無く見送ったほうが良い
どーも!タカナビです。
先に結論から申し上げると、今回取り上げるi-Plug(4177)はプライマリー投資としては魅力的。セカンダリー投資としては見送りするべきIPOとなりそうです。なぜそのような見解を持つかをお伝えできればと思います。
i-Plugの事業を一言で言うと、学生と企業を結ぶマッチングプラットフォームの提供になります。
就活のためのプロダクトとしてはリクルートのリクナビやマイナビ社のマイナビなどがありますね。正直レッドオーシャン(競合がひしめきあう市場優位性が取りにくい事業領域)かと思います。
- i-Plugへのプライマリー投資を検討されている方
- i-Plugへのセカンダリー投資を検討されている方
- 銘柄分析を参考にされたい方
※投資判断は自己責任でお願いします。
IPOの基本情報
IPO時の基礎データは以下の通りになります。
公開価格は仮条件の上限ということで評価が高いことが伺えます。
項目 | データ |
---|---|
想定価格 | 2,470円 |
仮条件 | 2,470円 ~ 2,620円 |
公募価格 | 2,620円 |
公募株数 | 270,000 |
売出株数 | 241,600 |
公開株数(合計) | 511,600 |
オーバーアロットメント | 76,700 |
発行済株式数 | 3,462,500 |
上場時発行済み株数 | 3,732,500 |
想定ベースの時価総額 | 9,219,275,000円 |
i-Plug社の事業内容
事業内容
冒頭でご紹介した通り学生と企業を結ぶマッチングプラットフォームの提供が主な事業内容です。
プロダクト名は「OfferBox」と言います。
その他「eF-1G」という適性検査のサービスも提供しているようです。
目論見書から事業内容抜粋します。

HR領域は寡占市場といっても過言では無いかと思います。ぐぐってみると100件を超えるサービスが出てきました。
参考:https://hrog.net/knowledge/map/83611/
このサイトにOfferBoxも紹介されているのですが、数あるHR領域のサービスの中でOfferBoxというサービスは「逆求人系サービス」にカテゴライズされています。
改めて事業内容を眺めると、確かに企業側が学生を検索する構図になっていますね。
自分が学生だった頃は、合同説明会や企業説明会にエントリーして企業側は来る学生を待つ形式が多かったですが、より双方のマッチング度を上げるためにこのようなサービスが生まれたのかなと思います。
企業側は紹介されている学生の詳細なパーソナルデータを参照することでより的確なリクルーティングが可能に、学生側は自分に興味の持ってくれる企業からオファーが来るため就活がしやすい、そんなところがHR領域の中で優位性を築く切り口だったのかなと感じました。
i-Plug社はこれをダイレクト・リクルーティングサービスと呼んでいますね。(一般用語かもしれません)
「逆求人系サービス」における競合はエン・ジャパンのサービスであるiroots、ベネッセHDとパーソルキャリアの合弁会社ベネッセi-キャリア社のdodaキャンパスあたりが上場企業なので大きそうです。
事業モデル
事業モデルは企業から学生を紹介することで報酬をもらう成果報酬型のようで、その中でも以下のような課金体系があります。
- 成功報酬型:本選考の開始時期から学生の紹介を行い、1名採用につき38万円の成果報酬をもらう課金体系
- 早期定額型:インターンシップ期間から学生の紹介を行い、採用予定人数に応じて単価をディスカウントする部分と追加採用分の成果報酬をもらう課金体系(例では3名で75万円、4名になると1名分は38万円請求となるようです)

成功報酬型で提案していき、早期定額型に切り替えさせるというのが企業の営業戦略になるのかと思います。
ここら辺の情報から企業の業績は類推できそうですね。
財務状況
事業内容の次は財務状況です。
以下の表は目論見書と会社発表の最新の業績予想からまとめています。
項目(単位:千円) | 2019 | 2020 | 2021(会社予想) |
---|---|---|---|
売上高 | 1,348,986 | 1,598,291 | 2,115,000 |
売上成長率 | – | 118.48% | 132.33% |
売上原価 | 287,426 | 359,228 | – |
売上原価率 | 21.31% | 22.48% | – |
売上総利益 | 1,061,560 | 1,239,063 | – |
売上総利益率 | 78.69% | 77.52% | – |
販売費及び一般管理費 | 969,237 | 1,205,918 | – |
販売費及び一般管理費率 | 71.85% | 75.45% | – |
営業損益 | 92,323 | 33,145 | 299,000 |
営業損益率 | 6.84% | 2.07% | 14.14% |
2021年3月期の売上高成長率予想は32%です。
前年は18%成長ですので加速していることが分かります。
ただし、気になる点が2点あります・・・
- 進捗率が悪い点
- 第3四半期までの決算が出ているのですが、売上の進捗率が68.5%で営業利益はわずか37.8%
- 早期定額型のビジネスを伸ばしたいはずだだが、昨年対比でみると減速している(成功報酬型は大幅増)

正直次回決算はかなり危険なのでは無いかなと思っています。
需給情報
IPOで株式がどの程度発行されるのか(新規発行株式)
IPOでは元々発行している株式がどの程度売り出されるか?(売出株式)
といった情報をおさえることが非常に重要です。
なぜなら、たくさんの株式が公募・売出されると、IPOで株式を割当てられた人達による売り圧力が存在することになるためです。
市場に出回る株式が多ければ多いほど上場後の初値は下がることになります。
逆に言うとセカンダリーを狙う人にとってはこういった銘柄を狙うことになります。
募集要項
それでは冒頭に記載した募集要項を再掲します。
項目 | データ |
---|---|
想定価格 | 2,470円 |
公募価格 | 2,620円 |
公募株数 | 270,000 |
売出株数 | 241,600 |
公開株数(合計) | 511,600 |
オーバーアロットメント | 76,700 |
上場時発行済み株数 | 3,732,500 |
想定ベースの時価総額 | 9,219,275,000円 |
オファリング・レシオ(OA除く) | 13.71% |
- オファリング・レシオが10%付近は低い割合かと思います。
- そのため、初値は暴騰する可能性が高いですね。
- プライマリー目線はポジティブ、セカンダリー目線はネガティブです。
株主構成
募集要項は上場直後の売り圧力を表しますが、株主構成では上場後一定期間たったあとの売り圧力を計るために重要な情報となります。
ストックオプション分の株式を除くと株主構成は以下になります。
株主名簿 | 発行済株式数 | ロックアップ |
---|---|---|
山田 | 390,000 | 180日 |
中野 | 2,310,000 | 180日 |
田中 | 210,000 | 180日 |
直木 | 90,000 | 180日 |
ニッセイ・キャピタル8号 | 300,000 | 90日1.5倍 |
おおさか社会解決 | 62,500 | 90日1.5倍 |
りそなキャピタル | 37,500 | 90日1.5倍 |
シタシオンストラテジック | 37,500 | 180日 |
グロービス経営大学 | 25,000 | 90日1.5倍 |
- VCは株価1.5倍で売ることができるので10%に近い売り圧力がかかりそうですね。
- そのため、プライマリー目線・セカンダリー目線ともにネガティブです
株価の目安(バリュエーション)
i-Plugの比較は難しいですね。。一応エン・ジャパン(4849)と比較してみます。
エン・ジャパンの執筆時点の情報は以下の通りです。
銘柄番号 | 銘柄名 | 時価総額 (百万円) | 株価 | 売上高 (百万円) | 当期純利益 (百万円) | 売上高成長率 (%) | PSR | PER |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3915 | エン・ジャパン | 153,374 | 3,085 | 41,543 | 3,741 | -26.9% | 3.7 | 41.0 |
利益が定常的に出ている企業においてはPERがバリュエーションを決める要素かと思いますが、PER・PSRそれぞれの指標を使ってi-Plugの理論株価を算出します。
- PER(41倍)でのバリュエーション:2,109円
- PSR(3.7倍)でのバリュエーション:2,092円
上記水準は公募価格を下回るものでした。
セカンダリー目線としてはかなりネガティブになると思います。
終わりに
i-Plugのプライマリーとセカンダリーの戦略をどうするべきか?をまとめていきます。
- プライマリー:
- オファリング・レシオが低い水準であることから初値は暴騰する
- ロックアップ条件が緩い点は若干ネガティブかもしれない
- 参考:やさしいIPOというサイトでは約2.5倍の値が付くと予想されているようです。
- セカンダリー:
- プライマリーの評価通り、初値が暴騰するためセカンダリーとしてはネガティブ
- ロックアップが絞れていないのでその点もネガティブ
- 理論株価的には公募価格以下なのでその値に収束するのではないか
- さらに本決算は計画を達成できないリスクが高いためさらなるダウンサイドの評価となりそう
ということで、最後にまとめておきます。
- i-Plugは学生と企業を結ぶマッチングプラットフォームを提供するビジネス(成果報酬型)
- プライマリー目線では公募価格の2.5倍程度と予想されている
- セカンダリー目線ではポジティブな点は特に無く見送ったほうが良い
Twitterではこのような情報をよりリアルタイムに発信しております!
参考になりましたら「いいね」と「リツイート」いただけると大変励みになります!!
初値
初値は6,000円で公募価格比+3,380円(+129.0%)でした。
引けは6,070円でした。
コメント