※公募内容に変更があったため更新します。
2021年3月に上場予定のビジョナル(4194)に関して、プライマリー(初値売り)とセカンダリー(初値買い)投資すべきかを検証する記事になります。
ただし、プライマリーについては様々なサイトで予測されておりますので、他サイトの予想をそのまま抜粋するにとどめ、メインはセカンダリーに妙味があるかに言及します。
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- ビジョナルは主に「ビズリーチ」の提供を行うビジネス
- プライマリー目線では想定価格の30%増程度と予想されている
- セカンダリー目線では初値が抑えられ、需給が安定しているが、バリュエーションの評価が難しいため様子見が無難かもしれない
どーも!タカナビです。
ビジョナルはHR領域における様々なサービス提供をしていますが、主要なものは「ビズリーチ」による転職者向けのマッチングサービス事業になります。
先日紹介した「i-Plug」と似た事業ですね。
- ビジョナルへのプライマリー投資を検討されている方
- ビジョナル(4194)へのセカンダリー投資を検討されている方
- 銘柄分析を参考にされたい方
※投資判断は自己責任でお願いします。
IPOの基本情報
IPO時の基礎データは以下の通りになります。
特徴としては海外の公募・売出があり、とてもその割合が高い点ですね。
需給面でポジティブと言えるかもしれません。
項目 | データ |
---|---|
想定価格 | 1,400円 |
仮条件 | 4,500円 ~ 5,000円 |
公募価格 | 5,000円 |
公募株数 ※1 | 2,127,700 |
売出株数 ※2 | 11,248,700 |
公開株数(合計) | 13,376,400 |
オーバーアロットメント | 266,900 |
発行済株式数 | 33,463,400 |
上場時発行済み株数 | 35,591,100 |
想定ベースの時価総額 | 1,550億円 |
**修正部分 はじめ**
※1 国内:22,500、海外:2,105,200
※2 国内:国内:1,274,400、海外:9,974,300
**修正部分 おわり**
ビジョナルの事業内容
事業内容
冒頭でご紹介した通り、ビジョナルはHR領域における様々なサービス提供が事業内容ですが、企業としてはHR領域にとどまらないDX事業と定義しているようです。

プロダクトは以下の通りです。






目論見書で取り上げていたプロダクトは「ビズリーチ」と「ハーモス」です。
特に、事業売上のほとんどが「ビズリーチ」による売上となります。
事業モデル
ビジョナル社としての事業モデルですが、「ビズリーチ」以外は規模が小さいものなので無視してしまいます。
まずは「ビズリーチ」の事業モデルですが、いわゆるHR企業の中ではおもしろい構造をしていると言えます。(複雑なのですが。。)

以前紹介させていただいた「i-Plug」社のように人材が紹介できたら企業側から報酬を貰う形が多いのですが、同社は様々なステークホルダーからマネタイズしています。
- 採用企業からプラットフォーム利用料(定額)をもらう
- 採用企業から採用成功報酬(従量)をもらう
- 採用企業からプラチナスカウトと呼ばれる、より採用確度が高くなるようなサービス提供を行うことで利用料(従量)をもらう
- 上記にヘッドハンターという仲介者が入ることで基本同等の利用料をもらいつつ、採用成功報酬は一部インセンティブをもらう
- 求職者からプレミアム課金と呼ばれる、より就職確度が高くなるようなサービス提供を行うことで利用料(従量)をもらう
転職市場ではヘッドハンターという役割の人へのサービス提供と、採用側だけでなく求職者からも報酬をもらうという点で他社よりユニークのマネタイズをしていると言えます。
このモデルが成功する背景としては、ビズリーチが転職者の中でも高額報酬(年収500万以上くらい?)向けのものとしてブランディングしていることが大きいと思います。
採用側は必然的に高額報酬を払える企業に限られ、その採用成功報酬は市場平均より増えますし、プラットフォーム利用料を払える体力のある企業と長く利用できる可能性を秘めます。
また、求職者側も元々ある程度報酬のもらえている人が利用するはずなので、プレミアム課金もそこまで抵抗感無く利用できるのでしょう。
各収益構造の説明も載せておきます。

業績
事業内容の次は業績です。(7月期決算)
以下の表は有価証券報告書からまとめています。
項目(単位:千円) | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|
売上高 | 21,492,000 | 25,879,000 | 26,700,000 |
売上成長率 | 136.89% | 120.41% | 103.17% |
売上原価 | 3,228,000 | 4,104,000 | – |
売上原価率 | 15.02% | 15.86% | – |
売上総利益 | 18,264,000 | 21,775,000 | – |
売上総利益率 | 84.98% | 84.14% | – |
販売費及び一般管理費 | 17,749,000 | 19,588,000 | – |
販売費及び一般管理費率 | 82.58% | 75.69% | – |
営業損益 | 515,000 | 2,187,000 | 960,000 |
営業損益率 | 2.40% | 8.45% | 3.60% |
2021年7月期の業績予想は、売上高成長率が大幅減速していることから差し引いた評価をしないといけないと言えそうです。
ただ、コロナ禍から回復傾向にあることは間違いないと思うので、この数字をどこまで予測として使うかは意見が分かれそうです。(さすがにコンサバに見すぎでは・・・?)
マザーズ大型上場企業にしては珍しく最初から黒字化されていることと、第2四半期時点で売上高の進捗率は50%を切っているものの、営業利益はすでに1.5倍くらいで達成している点がさらに評価を難しくしている気がしますw
とても雑ですが、売上高・営業総利益・営業損益の進捗率の表を画像で貼ります。

売上高の推移をグラフ化しておきました。

需給
IPOで株式がどの程度発行されるのか(新規発行株式)
IPOでは元々発行している株式がどの程度売り出されるか?(売出株式)
といった情報をおさえることが非常に重要です。
なぜなら、たくさんの株式が公募・売出されると、IPOで株式を割当てられた人達による売り圧力が存在することになるためです。
市場に出回る株式が多ければ多いほど上場後の初値は下がることになります。
逆に言うとセカンダリーを狙う人にとってはこういった銘柄を狙うことになります。
募集要項
それでは冒頭に記載した募集要項を再掲します。
項目 | データ |
---|---|
想定価格 | 4,355円 |
公募価格 | 5,000円 |
公募株数 | 2,127,700 |
売出株数 | 11,248,700 |
公開株数(合計) | 13,376,400 |
オーバーアロットメント | 266,900 |
上場時発行済み株数 | 35,591,100 |
想定ベースの時価総額 | 1,550億円 |
オファリング・レシオ(OA除く) | 37.85% |
- オファリング・レシオが30%超えは高い割合かと思います。
- そのため初値はかなり控えめになると予想されます。
- プライマリー目線はニュートラル(そこそこの上昇)、セカンダリー目線はポジティブです。
株主構成
募集要項は上場直後の売り圧力を表しますが、株主構成では上場後一定期間たったあとの売り圧力を計るために重要な情報となります。
ストックオプション分の株式を除くと株主構成は以下になります。
(あまりにも多いのでスプレッドシートの画像にさせていただきます。。)


- ロックアップが非常にタイトです。うまくVCに売出をしてもらって株価が安定するようにしていますね。
- そのため、プライマリー目線・セカンダリー目線ともにポジティブです。
株価の目安
株価の目安を計るために同業種の業績・株価情報を確認します。
今回挙げているのはエン・ジャパンとJACリクルートメントです。
本企業の執筆時点の情報は以下の通りです。
銘柄番号 | 銘柄名 | 時価総額 (百万円) | 株価 | 売上高 (百万円) | 当期純利益 (百万円) | 売上高成長率 (%) | PSR | PER |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4849 | エン・ジャパン | 167,046 | 3,360 | 41,543 | 3,741 | -26.9 | 4.0 | 44.7 |
2124 | ジェイエイシ | 76,077 | 1,800 | 22,463 | 3,345 | +3.9 | 3.4 | 22.7 |
ビジョナルの想定時価総額規模に近いのはエン・ジャパンですね。
売上高成長率がかなり悪いのでそれを差し引いて考える必要がありそうです。
一方でこの規模だからか、PERやPSRの水準を見るとJACリクルートメントよりも高い評価を得ていると見れます。コロナで悪化したHR業界ですが、リバウンドは大手に期待されるといったところでしょうか。
さて、エン・ジャパンを基にしたPSRとPERを元にビジョナルの目安の株価を算出すると以下の通りです。
- PSRでのバリュエーション:3,017円
- PERでのバリュエーション:2,725円
上記水準は想定価格を大きく下回るものでした。
業績でも触れたとおり、2021年は2Q時点で営業利益は進捗率を上回っています。ここらへんをどのように解釈するか・・・でもバリュエーションは変わってくるかもしれません。
また、ビジョナル全体の5%程度の売上ではありますが、SaaSサービスである「ハーモス」を提供していますので、そちらの評価をどうするかという点も論点はありそうです。
※本記事では事業に寄与する割合が低いため考慮にいれないことにしています。今後、モニタリングしたいと思っています。
以上をふまえて、セカンダリー目線としてややネガティブかニュートラルといった評価です。
終わりに
ビジョナルのプライマリーとセカンダリーの戦略をどうするべきか?をまとめていきます。
- プライマリー:
- オファリング・レシオが高く、初値はかなり控えめな上昇となる
- ロックアップ条件がタイトのでポジティブ
- 参考:やさしいIPOというサイトでは想定価格に対して、約30%増の値が付くと予想されているようです。(個人的には20%もいかないのでは?と思いますが。)
- セカンダリー:
- 初値が暴騰する可能性は低いためポジティブ
- ロックアップが絞れているので需給面がとにかくポジティブ
- 株価目安としてはややネガティブ
- ただし、公募と売出の海外比率が高いことから評価が分かれる可能性がある
ということで、最後にまとめておきます。
- ビジョナルは主に「ビズリーチ」の提供を行うビジネス
- プライマリー目線では想定価格の30%増程度と予想されている
- セカンダリー目線では初値が抑えられ、需給が安定しているが、バリュエーションの評価が難しいため様子見が無難かもしれない
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初値
初値は7,150円で公募価格比+2,150円(+43.0%)でした。
引けは7,000円でした。
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