2021年10月に上場予定のワンキャリア(4377)に関して、プライマリー(初値売り)とセカンダリー(初値買い)投資すべきかを検証する記事になります。
ただし、プライマリーについては様々なサイトで予測されておりますので、他サイトの予想をそのまま抜粋するにとどめ、メインはセカンダリーに妙味があるかに言及します。
- ワンキャリアはいわゆる新卒求人メディアの「ONE CAREER」を運営する企業
- プライマリー目線では想定価格の+26%程度と予想されている
- セカンダリー目線では目標株価3,583円としており、想定価格の+76%となる(ただし、1.5倍の3,060円で売り圧力がかかるので到達できない可能性も十分にある)
どーも!タカナビです。
ワンキャリアのIPOについて、目論見書から募集内容をふまえて考察したいと思います。

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- ワンキャリアへのプライマリー投資を検討されている方
- ワンキャリアへのセカンダリー投資を検討されている方
- 銘柄分析を参考にされたい方
※投資判断は自己責任でお願いします。
事業内容
事業内容
ワンキャリアは「ONE CAREER」を運営するいわゆる新卒求人メディア事業を行っています。
「ONE CAREER」はリクナビやマイナビのようないわゆる求人サイトとは一線を画し、企業の採用フローやES事例などが参照できる口コミががサービスの強みです。(同社はキャリアデータのPFと呼んでいますね)

近いサービスで有名なのは楽天が運営する「みんなの就活(みん就)」のようです。
また、説明会をLIVE配信するといった動画配信にも力を入れているとのこと。

企業側はONE CAREERを掲載するためのシステムや最近は採用計画が管理できるようなサービスとして「ONE CAREER CLOUD」を提供しています。

毎年このような人材系の企業が上場するということは、日本の人材採用という領域はレッドオーシャンではありつつも成長領域ということなのでしょうか。
働き手の企業間の奪い合いが起きていますね(笑)
創業ストーリー
- 2013年12月 現代表取締役社長の宮下尚之が株式会社トライフで新卒採用支援メディア「ONE CAREER」のサー ビスを開始
- 2015年8月 東京都渋谷区松濤に株式会社ワンキャリア設立
- 2021年3月 ワンキャリアクラウドシリーズの採用計画機能をリリース
- 2021年6月 中途採用支援メディア「ONE CAREER PLUS」β版をリリース
収益モデル
収益モデルは掲載企業から月額利用料をもらう構造です。

このビジネスモデルは最終的に優位性が生まれる部分は企業側の業務システムの使いやすさと業務カバー範囲だと考えています。
当然、学生を集めるための参画企業の募集であったり、コンテンツ拡充のための良質な口コミといった部分も重要ではあるかと思いますが、ある程度このようなコンテンツが充実してくると今度は参画企業の離反を意識しなくてはいけないからです。
参画企業の離反を防ぐための有効な手立てが企業側の業務システムなのです。
現状ワンキャリアでは掲載用のシステムが主要となっており、今後のプロダクト展開は気になっています。
KPI
主要な経営指標は以下となります。
- 法人取引累計社数:過去有償取引のあった法人数の累計です。2021年2Q時点で782社で昨年の成長率である150%程度は同じ水準を保てそうです。
- 年間取引社数:年間通して有償取引のある法人の合計です。2020年時点で495社とのことです。
- 新卒採用領域における会員獲得率:各年に大学もしくは大学院を卒業するユーザーの卒業年度別学生の総数に対するシェア率です。2022年度卒業予定のユーザーの登録数は55%ということで認知率およびサービスの効果を実感するユーザーが増えていることが分かります。


その他会員数やキャリアデータといった指標も出していましたが、相関が小さそうなので上記を取り上げました。
市場環境
市場規模
- 人材ビジネス業界のうち、特に意識しているのがHRTechクラウドとのことです。ここからも結局メディアよりも企業のHRのサポートとなる製品を生み出すことを意識しているように感じます。
- さて、HRTechクラウド市場は2025年度には1,710億円という試算があるようですが、同社はまだ入りたてでどのように入り込んでいくかが重要ですね。
- 現時点でのポジションとしては正直魅力は少ないです。

競合
競合はこちらのサイトにまとまってました。
- 主力事業である新卒求人メディアの場合、競合は超大手のリクルートやマイナビとなるでしょう。
- toBのサービス提供まで見据えられると違う競合が見えてくると思います。
- 今のところ圧倒的な優位性は見えていないです。
成長ストーリー・リスク
今後の成長ストーリーですが以下が考えられます。
- メディア事業の拡大:toC向けの事業としては高成長であることは間違いないのでここを伸ばす余地はまだありそうです。
- 別領域の参入:ただし、この規模が大きくなると成長の維持は難しくなると思うので、別の収益の柱を探す必要はありそうです。成長戦略にあるような中途領域の参入といったホリゾンタルな拡大要素もありますが、企業の基幹システムになるようなプロダクトが生み出せるかが成長のカギになると思います。
- レッドオーシャン市場リスク:やはり市場自体は伸びているとはいえ、強い競合がひしめくこの領域に真っ向から勝負するのは分が悪いですね。企業の業務を支えるプロダクトをいかに出していくかが重要と感じます。
業績
事業内容の次は財務状況です。(12月期決算)
項目(単位:千円) | 2019 | 2020 | 2021(※) |
---|---|---|---|
売上高 | 952,735 | 1,330,928 | 2,054,170 |
売上成長率 | – | 139.70% | 154.34% |
売上原価 | 292,411 | 344,824 | 385,386 |
売上原価率 | 30.69% | 25.91% | 18.76% |
売上総利益 | 660,324 | 986,104 | 1,668,784 |
売上総利益率 | 69.31% | 74.09% | 81.24% |
販売費及び一般管理費 | 645,143 | 905,564 | 996,082 |
販売費及び一般管理費率 | 67.71% | 68.04% | 48.49% |
営業損益 | 15,181 | 80,540 | 190,824 |
営業損益率 | 1.59% | 6.05% | 2.51% |
※2021年は半期実績を2倍した数字で算出
- 2020年通期は売上高13億で営業利益0.8億円ですでに黒字ですね。
- 売上成長率は+40%で非常に高水準ですが、まだまだ規模が小さいのである程度拡大してからは別の打ち手が必要といった状況でしょうか。
- 2021年半期の売上高は10億円ということで例年の進捗率は大体50%ということを考えると20億円の着地もありえそうですね。
- 2020年は広告宣伝費率が18%→12%に減らしているのであまり広告をふまなくなったのでしょうか。
需給
IPOで株式がどの程度発行されるのか(新規発行株式)
IPOでは元々発行している株式がどの程度売り出されるか?(売出株式)
といった情報をおさえることが非常に重要です。
なぜなら、たくさんの株式が公募・売出されると、IPOで株式を割当てられた人達による売り圧力が存在することになるためです。
市場に出回る株式が多ければ多いほど上場後の初値は下がることになります。
逆に言うとセカンダリーを狙う人にとってはこういった銘柄を狙うことになります。
募集要項
募集要項は以下の通りです。
項目 | データ |
---|---|
想定価格 | 2,280円 |
公募価格 | 2,090円 |
公募株数 | 600,000 |
売出株数 | 556,200 |
公開株数(合計) | 1,156,200 |
オーバーアロットメント | 173,400 |
上場時発行済み株数 | 5,600,000 |
想定価格ベースの時価総額 | 114億円 |
オファリング・レシオ(OA除く) | 20.65% |
- オファリングレシオは20%ということでややタイトです。
- プライマリー目線はニュートラル(そこそこの上昇)、セカンダリー目線はニュートラルです。
株主構成
募集要項は上場直後の売り圧力を表しますが、株主構成では上場後一定期間たったあとの売り圧力を計るために重要な情報となります。
ストックオプション分の株式を除くと株主構成は以下になります。
(スプレッドシートの画像にさせていただきます。)

- ロックアップは1.5倍条件がついた株式が全体の10%あります。
- 全てが売られる可能性も低そうなので1.5倍つけた後も強い売り圧力はないかなという印象です。
- そのため、プライマリー目線・セカンダリー目線ともにポジティブです。
株価の目安(バリュエーション)
ワンキャリアの売上と最終益を2Qの2倍とし、黒字化していることからPERでいくつかの企業みていくと以下となります。
- ポートのPER26倍を使うと目標株価は2071円
- 最近IPOしたi-plugのPER64倍を使うと目標株価は5095円
事業内容的にはポートが近い気がしますが、売上規模や成長率からするとi-plugの目標株価を目指してもよいかもしれません。中央値として3,583円を目標としておきます。
終わりに
ワンキャリアのプライマリーとセカンダリーの戦略をどうするべきか?をまとめていきます。
- プライマリー:
- 需給観点ではニュートラル
- ロックアップはしっかりかかっているのでポジティブ
- 参考:やさしいIPOというサイトでは想定価格に対して、約+26%の値が付くと予想されているようです。
- セカンダリー:
- 初値は小幅な上昇となりそうなためポジティブ
- 需給観点ではニュートラル
- 事業内容自体の魅力はそこそこですが、成長性があり、初値がおさえられるのであればセカンダリーでそれなりの値幅が取れそうです。1.5倍の3,060円(想定価格ベース)は意識したいですね。
ということで、最後にまとめておきます。
- ワンキャリアはいわゆる新卒求人メディアの「ONE CAREER」を運営する企業
- プライマリー目線では想定価格の+26%程度と予想されている
- セカンダリー目線では目標株価3,583円としており、想定価格の+76%となる(ただし、1.5倍の3,060円で売り圧力がかかるので到達できない可能性も十分にある)
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初値
※後日追記
初値は2,500円で公募価格比+410円(+19.6%)でした。
引けは2,200円でした。
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